伝統芸能を目指したのかもしれない。ナニコラ、タココラ問答

ここ数年、日本の良さを見せる番組をよく見かける。日本の技術や文化と外国人を絡める手法の番組である。この手の番組が増えてきた背景には、日本人自体が自国の文化や技術に対して興味を持っていない人が多くなったせいかもしれんない。そして日本独自の技術や文化を礼賛することでナショナリズムを高揚させるのかもしれない。

日本独自の伝統芸能といえば、歌舞伎や能楽などがあるが、プロレス界にももしかしたら伝統芸能を目指したのかもしれない事件があった。それはナニコラ、タココラ問答と呼ばれるものである。

今回はこのナニコラ、タココラ問答について検証してみたい。



ナニコラ、タココラ問答とは

プロレス界に限らず、日本で一番知られている問答がナニコラ、タココラ問答である。これは2003年当時、ZERO-ONEの橋本真也がこれまで遺恨など色々あって何かとうまく言っていない新日本プロレスの長州をスポーツ紙を使って批判したことが発端となる。新日本時代からZERO-ONEを巡って橋本と長州では激突があった。その流れもあり、橋本は解雇、ZERO-ONEを完全独立の形で立ち上げている。

そして翌年の1・4東京ドームでは「遺恨凄惨」と名をうち、橋本vs長州の試合があった。勝者はドラゴンストップにより、ある意味藤浪となる。
(関連記事:2001年1・4東京ドーム 伝説の技「ドラゴンストップ」を振り返る

この試合で遺恨が凄惨されることはなく、引きずることとなり長州批判へと繋がっている。そして、この批判を受けて長州がZERO-ONEヘ行き、多くのメディアの取材を受けているところへ登場。問答を始めることとなる。その際、インパクトのある言葉として残ったのが「ナニコラ、タココラ」だった。

問答内容

以下のはナニコラ問答の全問答の書き起こしである。

長州(以下長):何がやりたいんだコラ、紙面飾ってコラ、何がやりたいのか、はっきり言ってやれコラ!
噛みつきたいのか、噛みつきたくないのか、どっちなんだ!どっちなんだよ、コラ!

橋本(以下橋):何がコラじゃコラ、バカヤロー!

長:ナニコラ、タココラ!

橋:んだコラ!

長:紙面を飾るなって言ってんだ、コラ!

橋:お前が言ったんだ、このヤロー!

長:言ってのはテメーだろうが、コラ。

橋:・・〜、オイ!

長:ナニコラ!

橋:言っただろうが、コラ!お前、死にてえんだろ、このヤロー!

長:お前、今言ったなコラ!

橋:おう言ったぞ。

長:吐いた言葉飲み込むなよ。

橋:そのままじゃ、コラ。

長:よおし。

橋:なめてんだろ、このヤロー!

長:ヨォ押し、わかった。それだけだ。お前、今言った言葉飲み込むなよ。
なぁ、吐いて。わかったな。ホントだぞ、ホントだぞ、なあ。
噛み付くんならしっかり噛み付いてこいよ、コラ。
なぁ、中途半端な言った言わないじゃねえぞ、お前。わかったな、コラ。わかったな。

長:噛み付くなら・・

橋:お前にわかったか言われる筋合いねんだよ、コラ。

長:噛み付くんだな、コラ!!

橋:オッサン、ナメンナヨこのヤロー!

ナニコラ問答の意味

ここで、そもそもの問答について考えてみたい。一般的には問答とは「質問して答える」と言うやり取りを指す。確かに、橋本長州のやり取りは質問と答えのようにも見える。

今回のやり取りを見ていると、質問は長州の「噛みつきたいのか、噛みつきたくないのか、どっちなんだ」である。そして回答は橋本の・・・・、と質問に対して適切な回答がなく、問答が行われていないことがわかる。実際に成立したやり取りは「言った事の確認」だけである。

では、これは問答ではないのか?そう思えるが実は問答は違った意味がることがわかった。

討論的な応答をいう。日本の芸能の中には早くから問答体による一種の劇が成立していたらしく、《玉葉》治承2年(1178)11月2日条には、春日祭に赴いた勅使の一行に加わる舞人が奈良坂において検非違使(けびいし)に扮し、風刺をともなう問責劇を演じたことが見える。延年(えんねん)や猿楽能にも一曲の見せ場を導くために、問答を設定する場合がある。延年の大風流(おおふりゆう)では、問答によって走物(はしりもの)などの風流衆を導き、舞楽で納め,連事(れんじ)では白拍子(しらびようし)などの歌謡を導く。

出典:株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について

つまり、橋本と長州で行われたナニコラ問答とは一種の劇だったことがわかる。そこには恐らくであるが伝統芸能に残すためのものとして問答劇が行われたのであろう。

結果としてこの問答の部分は伝統芸能ではなくアニメではあるが「ドキドキ!プリキュア」でも使われることとなり、多くの子供の認知を獲得して大衆化までしたのである。

もし、この問答劇を能楽などの伝統芸能に残すのであれば、これまでの遺恨も含めた作りにしなくてはならない。これについては劇作家の登場を待つしかないのであろう。

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