大会・試合形式

勝負事が楽しくなる、争いの価値を高めるコントラ・マッチ

何かとゴタゴタした感のある衆議院選挙が終わった。公示前は何かと新党ブームを匂わせる希望の党の躍進が予想されていたが、民進党との合併の顛末など選挙前から泥舟のイメージがあり、結果として自公が320議席超の圧勝となった。
今回の選挙で感じさせたものが「期待のできなさ」と「卑怯さ」であった。それはつまり、候補者に負けたら失うといった賭けるものがなく必死さも伝わってこなかったためである。

プロレス界には負けたら失う戦いが存在する。それはコントラ・マッチと呼ばれるもので、起源はメキシコのルチャ・リブレである。今回はこのコントラ・マッチについて考察していく。



コントラ・マッチとは

このあまり聞き馴染みのないコントラ・マッチだが、実はほとんどの人が経験しているのではなかろうか。コントラ・マッチとはお互い外事なものをかけて戦う試合形式を表し、ルチャ・リブレであればお互いのマスクを掛け合う戦いが定番である。
コントラとは「対」を意味しており、敗者はかけに出した大事なものを失う。ほとんどの人が経験しているというのはジャンケンに負けたらジュースを奢る、買い出しに行く、など知らずしてコントラ・マッチを行なっているのである。

大事なものを失う戦いだからこそ必死になり、かつ敗者が大事なものを失う時には悲壮感が漂うものであった。
だからこそ話題性があり、大きな話題もなく目玉カードがないような興行的に弱い時に行われたりもするのである。

代表的なコントラマッチ

コントラ・マッチは実際にマスカラ・コントラ・マスカラという形で表現されるが、〜対〜ということであり、この場合は「覆面対覆面」を意味している。

代表的なものであれば「マスカラ・コントラ・マスカラ」「マスカラ・コントラ・カベジェラ」「カベジェラ・コントラ・カベジェラ」といったところであろうか。特にカベジェラについては全日本女子プロレスのお家芸であった。

マスカラ・コントラ・マスカラとは

敗者が覆面を剥ぎ取られるというもの。ルチャ・リブレでは覆面レスラーが大勢おり、素顔を隠して戦う彼らにとって覆面は大事なものである。

ただ残念ながら日本でのマスクをかけた名勝負が見られないのが残念である。というのも正体が知られている場合がほとんどであり、かつ興味があるマスクマンの絶対数が少ないためである。行われていない、ではなくインパクトがない、また負けてもそのままマスクを被り続けて活動をしているため価値があまりなくなっている。

マスカラ・コントラ・カベジェラとは

敗者がマスクマンであれば覆面を剥がされ、そうでなければ髪の毛を切られるというもの。マスクを被っていない選手とマスクマンの間で交わされるコントラマッチの形式である。

日本でのマスカラ・コントラ・カベジェラといえば全日本プロレスでの小林邦明vsマジック・ドラゴン戦である。疑惑の3カウントでマジック・ドラゴンが敗退し、マスクを脱いで小林邦明に投げつけたのがのちのハル薗田こと薗田一治である。
ハル薗田自身は数年後に若くして飛行機事故で亡くなっているが、彼の代表的な戦いといえばこの試合といえよう。

カベジェラ・コントラ・カベジェラとは

敗者髪切りデスマッチのことで、日本では全日本女子プロレスで行われていた。日本文化において女性の髪の毛は大事なものとされていたため、女子プロレスでは丸坊主姿は絶大なインパクトがあった。

長与千種vsダンプ松本戦。ダンプ松本が身代わりを立てながら入場し、試合は長与千種の流血、観客の悲鳴など大いに盛り上がっていた。ダウンカウント10により長与千種が敗退し、極悪同盟に押さえつけられながら髪の毛をザクザク切られることとなった。

豊田真奈美vs山田敏代の場合はクリーンな好ファイトが行われ、ジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックスで豊田が勝利。リング上で潔い髪切りが行われた。

失うものに価値があるからこそ必死になれる

コントラ・マッチは上記の他にいろんなものが行われた。負けたら引退という過酷なものから、キャラ封印など対して軽めのものまで様々である。
近年では負けたら失うというよりは、負けたら罰ゲームというニュアンスに近いため、興行としてのネタ作り程度に収まってしまっているのが現状である。

観客から悲痛な叫びが出るほどコントラ・マッチの重要性は高い。このことから考えるとコントラマッチを盛り上げるのに必要なのは、熱心なファンとそのファンが抱くイメージをかけることにある。ファンがそのイメージに自己投影をするからこそ失われることに意味が出てくるのである。
つまりレスラーの趣味の封印や不人気のギミックの封印などはコントラ・マッチとしては対して魅力がないのである。

冒頭に選挙での必死さが伝わらない話をした。候補者自身はお金を使い活動するので必死であろう。しかし、有権者(プロレスに例えるなら観客)も必死になること(政策が自身に影響を与えること)を訴えてきたであろうか。そう考えると政治の世界もプロレスに通じるものがあるように思える。

多くの人は毎日何かしらの争いが起きている。もし、自身に何か争いごとが起きた時、楽しく自身を盛り上げたいときはこう言うと良い。
「カベジェラ・コントラ・カベジェラで勝負だ!」と。

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