[関節技]チキンウイング・フェイスロック|『種の起源』と、ボブ・バックランドと共に消えたフィニッシュホールド

「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ。」これはダーウィンの『種の起源』でよく耳にするフレーズ。プロレスの場合、「強い技、すごい技が生き残るのではない。使い手がいれば生き残るのだ。」がぴったり合う。
今回はかつて一世風靡した技「チキンウイング・フェイスロック」について考察する。




チキンウイング・フェイスロックとは

そもそもチキンウイング・フェイスロックとはどんな技なのであろうか。1980年代、中学生〜高校生の間で流行し、学校でよく見かけた技で40代前後であればみんなが知っている、逆に知らないと恥ずかしい関節技である。

技への入り方は下の通り。
1. 相手の背後から左腕に外から自分に左腕をかけ、背中に回す。
2. 右腕で相手の顔を左に向けるようにしながら、左手と右手をクラッチする。
3. 一気に締め上げる。

フェイスロックとともに左肩を決める複合関節技で、決められている左腕が鶏の手羽っぽいことからチキンウイングとの名称がついている。

ボブ・バックランドとUWFによるチキンウイングの普及

日本で広まったのルートは二つある。一つはUWF、もう一つはボブ・バックランドである。

UWFではグランドで相手を押さえ込みながら、腕を決めフェイスロックにつなぐことから比較的多くみられた。また、UWFでは相手の肘を曲げ背中に回して腕を決める関節技をチキンウイング・アームロックと呼んでいた。

そしてもう一つのみんなが大好きなボブ・バックランドであるが、ボブ・バックランドのフィニッシュホールドとして認知されている。
バックランドといえば一番印象が強いのはおそらくキーロックに仕掛けた猪木を持ち上げたシーンではなかろうか。キーロックから持ち上げてコーナーポストに載せるというムーブメントはここから広がっている。
またバックランド自身もUWFに参戦しており、チキンウイング・フェイスロックの普及に一役買っている。

UWFブーム、そしてバックランドによるフィニッシングムーブによりチキンウイング・フェイスロックは急速に市民権を得た技となり、お茶の間へ普及していったのである。

絶滅種となる後継者不在

チキンウイング・フェイスロックは流行したものの、衰退も早かった。その原因は後継者不足により技の露出が激減したからである。

露出の激減の一つにUWF系団体の解散・縮小化と総合格闘技路線への転換がある。総合格闘技への変更により、マウントパンチの解禁などから技はよりシンプルに関節を決める技が中心になり、チキンウイングフェイスロック自体が総合格闘技で見かけなくなった。

チキンウイング・アームロックはダブルリストロックと称され、現在でもグランドで使用されている。また桜庭和志によりサクラバロックとして生き残っている。

またボブ・バックランドの引退によりチキンウイング・フェイスロックを決め技とする選手がいなくなった。その背景には「よりオリジナル感の溢れる関節技」が使用されていったのもの一つの要因である。

冒頭の『種の起源』のアレンジで「強い技、すごい技が生き残るのではない。使い手がいれば生き残るのだ。」。以上のことからもこれは真実ではなかろうか。

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