横綱日馬富士による貴ノ岩殴打事件で騒がれる中、リモコンで殴ったことや白鵬の話している最中にスマホを触っていたことなど、事件の詳細が少しずつ解明されてきた。
そして、その事件が発生する前に貴ノ岩が「これからは僕らの時代だ」といっていたと言う。
この発言は角界に世代闘争が再び世代闘争が発生したのかもしれない。しかし、プロレス界では30年ほど前に起こっているのである。
かつて「これからは俺たちの時代だ!」そう叫んだのは長州力である。
今回は貴ノ岩の「僕たちの時代」発言の元になったと考えられる「俺たちの時代」について考察する。
長州力とは
もう知らない人はいないんじゃないかと思われる長州力であるが、ひょっとしたら若い人は本物の長州力を知らないかもしれない。バラエティ番組に出たり、長州小力のネタ元になっていたりとどこかでレスラーではないところで認知されているかもしれない。
長州は革命戦士と呼ばれ、新日本や全日本を渡り歩き藤波辰爾やジャンボ鶴田を相手に激闘を繰り広げていきた。また、新日本における大きなうねりの中心にいることも多かった。
しかし、元々は藤波辰爾の後塵を拝することが多く、スターであった藤波や会社に対して噛み付くことで一躍主役に踊り出て栄光を勝ち取った。
(関連記事:「藤波、俺はお前のかませ犬じゃない!」長州力に学ぶ、革命の起こし方)
俺たちの時代
事件は1987年6月12日両国国技館で行われたアントニオ猪木vsマサ斎藤のIWGP戦後に起こる。試合終了後、長州力が乱入しマイクを持つ。
「藤波、俺たちは自分たちの時代を作るために3年間、叫んできたんだぞ!藤波!前田!今こそ新旧交代だろうが!」「俺は噛み付くぞ!藤波!前田、お前は噛みつかないのか!?」と叫んだのである。
そしてこれに呼応するようにアントニオ猪木が「その気で来るなら受けてやるぜ、テメェらの力で勝ち取ってみろこのヤロー!」と叫ぶ。
猪木、坂口、マサ斎藤が手を組み、長州、藤波、前田が手を組むと言う構図ができるのである。
前田がぎこちなく空気を持ち「世代闘争で終わらさず、誰が一番強いか決まるまでやりゃいいんだよ!」と、決まったばかりの世代闘争を否定する一面も。
猪木・坂口・斎藤・星野・藤原によるナウリーダーと長州・藤波・前田・木村・SSマシンによるニューリーダーの抗争に発展していくこととなる。
この中で藤原はキャリアとしては藤波や長州とさほど変わらないのためニューリーダーに入れてもおかしくないのだが、おそらくUWF勢の中で前田らにスパーリング指導をしていたことや顔が老けていたなどの理由でナウリーダーに入れられたとの噂もある。
このことで大きなうねりができたかに見えたが、全日本プロレスとの契約問題が長州には残っていたためテレビ放送に出ることができず、爆発的な抗争とまでは行かなかった。
今後の角界の展開として
長州力が掲げた俺たちの時代は世代交代の強うい意思表示であった。新日本には藤波や前田、全日本には鶴田と天龍。若くして力がある世代がゆえ、自分たちが上に上がるには上に噛み付く必要があったのである。
2017年1月の白鵬との取り組みで金星をあげた貴ノ岩による俺たちの時代発言があった今、角界は世代闘争に入るべきである。それは千代の富士vs貴花田といった個人での世代闘争ではない。
白鵬・日馬富士・鶴竜・稀勢の里の横綱に老け顔の関取を一人加えた現勢力と、貴ノ岩や阿武咲など新勢力での世代闘争である。そして、本場所ではない地方巡業で5vs5のイリミネーションマッチで取り組んでみてはどうだろうか。
長州の俺たちの時代発言から実に30年の歳月が過ぎた今、角界で同じ動きが出てきたのである。もうこれは世代闘争に舵を切るべきである。
そして、新勢力の中から横綱が誕生した時には「角界のど真ん中」と言う言葉を使って欲しいと思う。
もし、自分をさらなる高みに上げたい時はニューリーダーになるといい。そして「俺たちの時代だ!」の大号令のもとで同世代の仲間を集め、上司・先輩と戦い勝利を勝ち取ろう。
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