人間は静かに生活していても様々な危険が周りに潜んでいます。そのため、心配性の人は「空が落ちてくるんじゃないか・・」と危惧する人もいるようです。
しかし、そんなビクビクしていたら楽しくもないので、人生を楽しむためにも危機を受け止めつつ後ろへ投げやる技術を身に付けたいところ。
プロレスにはまさに“受け止めつつ後ろへ投げる”パワースラムという技があり、今回はそのパワースラムについて考察します。
パワースラムとは
もしかするとパワースラムってなに?という方もいるかもしれないので、ここで説明しておこう。パワースラムとは向かってくる相手の突進力を利用殺さず、キャッチして反対側に投げる技である。
パワースラムの使い手としては全日本プロレスに来ていたテッドデビアスをはじめ、ザ・ロードウォーリアーズ、バズ・ソイヤー、スコット・ノートンなど、日本人では佐々木健介が使用していた。特に怪力巨漢系の選手に見られる技でもある。
ロープへ振ってからのパワースラムやカウンターでの使い方が多く見られ、近年ではフィニッシャーというよりはその過程で痛め技となってしまった。
怪力巨漢系の選手がよく使い、パワーという文言が入っているせいか力技と思われがちだが、力の代わりにタイミングと体のバネを使ってすることもできる。元祖とされるテッド・デビアスは怪力自慢の選手ではなく、どちらかというと億万長者ということで成功したタイプである。
(→関連記事:テッド・デビアスに学ぶ、明日にでも使える億万長者の振る舞い方)
向かってくるレスラーの股に右腕を深く入れ、左腕は相手の右肩に回す。いわゆるボディスラムに入る体勢であるが、突進してくる相手の力を利用して相手を掴んだまま左へ体を捻る。相手の突進に合わせて自分の遠心力を乗せ後ろに投げるのである。なのでタイミングが合えばそこまで力のない選手でも仕掛けることができる技である。
ただ、投げ終わったあとに体固めの状態になるので、やはり巨漢のレスラーが仕掛けた方が見栄えはする。
また、WWEではアバランシュ・ホールドの形をパワースラムと表すことが多く、このタイプの使い手はブラウン・ストローマンやビル・ゴールドバーグなど本当に力自慢のレスラーに限られている。
日常生活での危機はこのように回避する
日常生活で溢れる危機に対してどのような時にパワースラムで対処できるであろうか。普通の人であればその危機と遭遇した時に大惨事になるが、パワースラムを使う事ができれば以下のような危機にも見事に対応する事ができる。
<交差点での衝突時>
ベタな話で、男女が交差点でぶつかるというものがある。案外、そこから恋愛に発展するのではと期待してしまいがちだが、日本衝突研究機構(※1)のデータによればその確率は0.001%未満ということである。つまり、ただぶつかって痛い思いをするだけである。
ここはたとえ異性であっても自分に迫ってくる危機と思いパワースラムで切り返したい。
<横の積荷が崩れた時>
荷物が身長ぐらいの高さで積んであるものが崩れてきた時、とっさにパワースラムで回避することができる。ただし、荷物の推進力はあまり無いため腰を痛めないように注意が必要。
<右から何かがやってくる時>
しばらく前に流行ったネタではあるが、ムーディ勝山の「右から〜、右から〜何かがやってくる〜。それを僕は〜左へ受け流す〜。」はまさにパワースラムのことを表した歌で、右から何かがやってきた時に右に半身を翻してパワースラムをするといいだろう。
子供に教えたい技術ナンバーワン
車にも衝突回避のための自動運転技術の研究が盛んに取り組まれている昨今、人間同士の衝突回避の効果的な手段がなかなか確立されない。そのため、パワースラムは我が子に教えたいプロレス技術でナンバーワンとなったこともあったり、なかったりと言われる技である。
衝突には「回避する」「受け止める」「一度受けて逸らす」というやり方があり、パワースラムは一度受けて逸らす最たる方法といえよう。
そしてこの技術は肉体的な衝突だけに有効ということでも無い。
もし、熱い思いが高まった時に誰かと気持ちの部分で相手と衝突しようとする時もパワースラムの要領を思い出して欲しい。相手の気持ちを受け止めつつ、相手の言葉の力に自分の言葉を乗せてその矛先を逸らすこともできるであろう。
パワースラムはプロレス技であって、プロレス技では非ず。パワースラムで是非とも日常の危機を後ろに投げてストレスのない日常を送って欲しい。
(※1) 架空の団体。