さて、もう年の瀬を迎え忘年会も佳境に入ったことだろう。忘年会といえば余興になるのだが、かつてお酒の席の余興でプロレス技を使ったセクハラとなった事件があった。
滋賀県の警察官がスカートを履いた女性に対してロメロ・スペシャルをかけ、写真を撮影していたという。全くもってけしからん!という話である
見た目のインパクトのせいか宴会の余興にされてしまうロメロ・スペシャルだが、余裕のない現代人にモヤモヤ感を楽しませることができるのである。
今回はそんなロメロ・スペシャルを考察する。
ロメロスペシャルとは
国民の大半が知っているロメロ・スペシャルだが、ご存知ない方にも説明をしておこう。
もともとはルチャ・リブレのジャベ(複合関節技)で吊り天井固めと呼ばれる技である。うつ伏せに倒れている相手の両膝の裏を踏むようにして足を絡め、背後に腕を引きつけて自分が後ろに倒れこむ事で相手を起こす技である。自分の手と足で相手を支えるようにすることで肩関節にダメージを与えるされる技である。
両手足をロックされた状態になるため脱出しにくいのであるが、技をかける方も疲れるため長時間かけることはない。
また、完成形になるまで時間がかかることから「これ、かけられる方がワザとやられてるんじゃね?」と疑惑を持たれがちだが、実際に抵抗する相手に仕掛けることも可能である。(多くのプロレス技は相手を弱らせて体力を奪ってから成立する技が数多くある。ロメロ・スペシャルも例外ではない。)
ロメロスペシャルの凄いところは完成形のフォルムの珍しさもさることながら、そのままフォールに移行する事できる事。そして、うっかりダブルフォールがカウントされるところである。
ロメロといえば獣神サンダー・ライガー
近年、見かけることが少なくなった技であり、現在の第一人者といえば獣神サンダー・ライガーではなかろうか。
ライガーといえばドラゴンボンバーズのメンバーで中の人は山田恵一ではあるが、もともとはアニメ「獣神ライガー」に合わせて生まれたキャラクターであった。入場曲の「怒りの獣神」もアニメの主題歌である。
誕生して20年たった今でも、燃やせ燃やせ怒りを燃やせ〜というものである。
当時のプロレスラーとしては身長が公称170cmと低く、体格面では劣っていたものの、ジュニアヘビーの体格でヘビー級の橋本へ挑戦もしている。
また現在の新日本の興行の柱の一つであるベスト・オブ・スーパーJrもライガー無くしては語れないものである。1990年代プロレス団体乱立の時代のジュニアヘビー級の主役の一人は間違いなくライガーだったと言える。
どちらかというと骨法から掌底の連打からのあびせ蹴りのイメージが強いが、ロメロスペシャルもライガーを代表する技といっても過言ではない。
実際、冒頭の警察官による事件のコメントを求められているし、バラエティー番組内でマッサージ中にロメロスペシャルを仕掛けることはできるか、という企画にも呼ばれている。
モヤモヤを楽しめる技
ロメロスメシャルが現代社会のうってつけの理由は「モヤモヤを楽しむことができる」という点である。
この楽しむポイントは二つあり、一つ目は「本当にこの技痛いの?」と思わせるところである。実際これについてはご自身で検証してもらうといいだろう。
もう一つはダブルフォールが起きるという点である。ダブルフォールとは両者が両肩をマットについた状態のため、レフェリーが両者に対してカウントをとる事である。通常ではダブルフォールは起こりにくいのだが、このロメロスペシャルからのフォールに至っては頻繁にダブルフォールが発生する。
つまり技仕掛けた側もうっかりスリーカウントを取られてしまうのである。そしてダブルフォールでの決着は何かモヤモヤしてしまうものである。そしてこのモヤモヤが色々なことを想像させて楽しませる余地となるのである、
インターネットが普及してすぐに答えを手に入れやすくなってしまった現代、考える余地を楽しむことが激減してしまった。ロメロスペシャルはそんな現代社会にモヤモヤを楽しませ考えることの大切さを教えるプロレス技と言えるだろう。