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「昔の飯塚高史は等々力渓谷のほこらに封印したんだよ!」飯塚高史に学ぶ、過去との決別の仕方

人間誰しも生きていく上で忌々しい記憶や経験をすることだろう。そういうものほど忘れようとしても忘れることができないものである。そして、それは少しずつストレスを与えているのである。

新日本プロレス、現在鈴木軍所属の飯塚高史は過去をある方法で決別することができた人物である。今回は飯塚が実行した過去との決別方法と実行したとされる祠(ほこら)について考察する。



飯塚高史とは

もう北海道室蘭市民の92%は知っていると言われる飯塚高史だが、知らない人のために説明をする。
現在の風貌は坊主頭にあごひげを蓄え、首輪をされてエル・デスペラードを引きずっている。見た目や行動はインパクトがあり、外国人のヒールのように荒れ狂う感じがある。
鋼鉄製のグローブをはめ、アイアンフィンガー・フロム・ヘルという凶器を装着しての地獄突きを得意技としている。また言葉を発する機会が減ってきたためおかしな挙動に出ることもしばしば。噛みつきや凶器攻撃、バットでの車の破壊からももクロのバラエティ番組でメンバーの玉井詩織を拉致する一幕もあった。

そんな飯塚だが、しばらく前は全く違っていた。今の姿からは想像ができない端正な顔立ちで真面目な好人物だったのである。

闘魂トリオ〜JJジャックス期

武藤・蝶野・橋本ら闘魂三銃士の下の世代であったため、エル・サムライと野上彰とセットで闘魂トリオとして売り出しにかかるも、闘魂三銃士の位置まで駆け上がることができずに売り出しが上手くいかなかった。闘魂トリオの3人が全てそうだったので、決して飯塚だけの問題とは言えなかった。
当時、闘魂三銃士のすぐ後ろには馳浩や佐々木健介もいたことで、押しのけてまで駆け上がることができなかった優しさも原因の一つであろう。

また真面目な性格からかドラゴンボンバーズの結成メンバーになるが、ここでも飯塚は活躍することはなかった。これも決して飯塚が悪いのではなくドラゴンボンバーズそのものに活躍の場がなかったためと言える。
(→関連記事:新日本プロレスにかつて存在したドラゴンボンバーズに見る事業部制の失敗事例

闘魂トリオのエル・サムライがいち早くジュニアヘビー戦線で活躍を始めると、残った野上とタッグを組みJJジャックスを結成。当時、新日本プロレスでは珍しいアイドルレスラー系のコスチュームを着せてIWGPタッグを狙う活動をするも体感まで至らず。
これも決して飯塚だけの問題ではなく、中手探り状態で途半端な形の中アイドルレスラーとしての売り出しを狙った組織に問題があったと言える。

若手時代にサンボ留学の実力を買われてか対抗戦にも実は顔を出すメンバーであり、Uインターとの対抗戦では高山善廣と対戦、また橋本と組んではUFOの小川村上組と対戦している。

しかし、これからという時に首を負傷したため長期の戦線離脱を余儀なくされた。不運ではあるが飯塚が悪いわけではなかった。

ヒール期

天山の友情タッグやGBH、CHAOSを裏切って現在の鈴木軍にたどり着く。
裏切るごとに狂乱度合いが増していき、クレイジー坊主の名を欲しいままにする。

この頃から天山、永田、テレビ朝日野上アナウンサーなどを標的にした活動が中心となる。現在、鈴木軍にいる飯塚がどのタイミングで本能に従い反旗を翻すのか?鈴木相手でも裏切るのか?など興味は尽きない。

場外で観客を混乱に陥れる様は飯塚ならではと言えるだろう。

過去との決別する唯一の方法

上記のように不遇な優等生だった飯塚がどのようにしてクレイジー坊主となったのだろうか。普通で考えれば良心や自制心が残っているため、暴れまわるようなことはないだろう。しかし、自制心のカケラはほとんどないのである。

本人の談話によれば「昔の飯塚高史は等々力渓谷のほこらに封印したんだよ!」と明かしていることから、過去との決別には祠に封印することが有効だとわかる。しかも場所は等々力渓谷である。

等々力渓谷といえば東京23区唯一の渓谷として知られる名所で、都会のオアシスと言われるほど自然豊かである。マイナスイオンを大量に浴びてリフレッシュするにはもってこいの場所であろう。
そんな等々力渓谷だが実は祠が数多く存在する。その中に役小角(えんのおづぬ)が祀られた祠も存在している。

役小角とは飛鳥時代から奈良時代の呪術者で、修験道の開祖とされている人物で、等々力不動の本尊である秘仏の不動明王像は役小角がつくったという説もある。
また等々力不動尊も修験道の霊場となっていることから、飯塚がここで修行をした際に良心が分離し、役小角の祠に封印されたことが容易に想像される。

このことからも過去との決別には霊験あらたかな修行場で色々なものを断ち切る修行が必要ということになる。

なので等々力渓谷のことも、決して単に新日本の道場から近かったために適当なことを言ったわけではないのである。

決別のメリット・デメリットをしっかり理解することが重要

過去との決別には修行が必要であるということがわかった。また、適切な場所で行う必要もありどこでも良いというわけでもないのである。

もし、修行と場所が揃うのであれば過去との決別は行うべきか。それはそこに十分なメリットとデメリットの理解があるかどうかであろう。
飯塚は良心と引き換えに、心の自由を手に入れることができ存在感を示すことができた。しかし、側から見れば狂乱のアイアンフィンガーでありクレイジー坊主であることには間違いない。こうなると小洒落たレストランで食事などできないし、エル・デスペラードがいなければ人混みが多いところにも行くことができないであろう。

もしかしたら飯塚も良心を封印することを望んだわけでもないのかもしれない。飯塚の場合はうっかり良心が封印された可能性すらある。
もし、過去との決別を望んでも自分が納得できる形になるとは限らないということも念頭に置いておく必要はあるだろう。

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