倒れている相手に体重を預けるように肘鉄を浴びせる技、エルボードロップ。
力や技術を必要としないので、誰しも一度はやったことがあるのではなかろうか。
しかし、それは正しいエルボードロップだったであろうか。あまりにも簡単にできることから見落とされがちだが、本当に素晴らしいエルボードロップには魅せる力がある。
今回はそのエルボードロップについて考察していく。
エルボードロップとは
釈迦に説法かもしれないがプロレス技には肘を使った打撃技が色々とある。立った状態で肘を当てるエルボーバット、内腕から肘にかけての部分を下から突き上げるように胸や頭部に当てるエルボースマッシュ。そしてダウンしている相手に対して自重を乗せて肘を当てるエルボードロップがある。
エルボーバットに比べてエルボードロップは回避されると自爆という形で自分にダメージを追うことがある。
特にダイビングエルボードロップは自爆のダメージも大きい。
魅せるエルボードロップ
魅せるエルボードロップとはどいうものか。それはオリジナルのムーブが加わったものや、迫力、落下のフォームが綺麗なものである。
<フラッシングエルボー>
相手を正面に置いた状態で、体を回しながら倒れこむようにし、腕を下から回すように1回転半させて体勢を整えて落下するエルボドロップ。
落下しながら動いているので、通常のエルボードロップより落下が早い。武藤敬司が得意とし、青天井エルボーの名で棚橋が引き継いでいる。
<毒針エルボー>
ジャンプはせず、腕をあげて肘を相手の喉元めがけて当てるように体を浴びせる。そのままの状態で抑え込むのでエルボードロップ・ホールドの類となる。
体重の思い選手ほど破壊力があり、みんなが大好きなアブドーラ・ザ・ブッチャーのフィニッシュホールドである。
<連続して避けられる>
鋭いエルボードロップをして避けられるも、すぐに立ち上がり追い討ちのようにエルボードロップをするが、これも避けられるというもの。
ザ・ロード・ウォーリアーズのアニマルとホークどちらも得意としており、相手にエスケープされてしまうが荒々しさや力強さをアピールすることができる。
<ファイナルカット>
相手がのけぞった状態で胸・喉元に肘を当てながら倒れこむ技。そのままホールドするのでエルボードロップホールドの類になる。
長身のビッグショーか得意としていた。
<ピープルズエルボー>
倒れている相手の頭の部分に立ち、両手を広げるよな動きをしながらおもむろにロープに走る。戻ってきて相手の横で止まり、右足をスゥーッと左側に回し、体を反転。そのあと勢いをつけて倒れこむようにエルボーを当てる。調子がいいときは技をかけた自分も反動で逆さまになることもある。
もちろんピープルズチャンピオンであるザ・ロックの必殺技でエンターテイメント界最高の技の一つとされている。
<宝城カイリ(カイリ・セイン)のダイビングエルボードロップ>
コーナー最上段から行うダイビングエルボードロップ。高さがあり、落下中の姿勢が綺麗でセイン・カイリの必殺技。
先日WWEで行われたメイヤング・クラシックをダイビングエルボードロップで制し、初代女王となった。
<リープ・オブ・フェイス>
ダイビングエルボードロップ。主に実況席に倒れた相手に行うシェイン・マクマホンの必殺技兼自爆技。
ヘル・イン・ア・セルでは金網の上から実況席に倒れたアンダーテイカー相手に行うも回避されて自爆している。場外乱闘で同様の高さの照明の足場からビッグショーに行ったものは成功している。リープ・オブ・フェイスとは信仰の飛躍という意味で、シェインの場合は本当に命がけのダイブになることもあった。
日常生活でのつなぎ技、魅せ技、必殺技として
エルボードロップは相手に肘を落とすという点では非常に簡単な技なのでダメージがないと誤解もされやすい。
肘の固いところが当たっていないとか、そういうのを考えずに楽しむのがプロレスである。
日常生活では空き缶を潰す、畳んで膨らんだ布団を潰す、マッシュポテトを作るときに芋を潰すといった物理的に潰すことが必要なシーンで活用することが可能である。
例えば魅せるように芋を潰すことで、料理の完成度の期待値をあげることにもつながるであろう。
プロレスでは基本的な技であればあるほど、簡単そうに見える技であればあるほど必殺技として認められにくい。
特に日本では頭部にダメージを与えるような投げ技やボム・バスター系の技を認める風潮が強いので、エルボードロップを必殺技にすることはなかなか難しい。
しかし、宝城カイリのように説得力のある必殺技にすることも可能である。
まずは綺麗なフォームでするエルボードロップから肘めてみてはどうだろうか。