全日本プロレス川田利明に学ぶ、全体最適化のための鞍替え成功事例

2017年10月、衆議院投票選挙前にある候補者にとても見苦しいことがあった。それは選挙当選のために別の政党の公認をもらったが、その政党の公約とは相反することを突如言いだすというものだった。自分に何かの信念があるのはいいのだが、選挙に当選したいがために嘘をついて公認を取り付けるという、人として疑ってしまうものである。

プロレス界には団体内で鞍替えをして最大級の成果を挙げた人物がいる。その人物は全日本プロレスの川田利明。今回はその川田利明の鞍替えによる成功事例について考察する。



川田利明とは

釈迦に説法かもしれないが、まず川田利明とはどのような人物かを改めて説明したい。国民の63%の人が知っていると言われる川田利明は元全日本プロレスのレスラーである。デンジャラスKと呼ばれ、90年代の全日本プロレス最盛期に活躍、四天王時代を築いた一人である。

無精髭でキックやパワーボムを得意としており、鎖国に近い全日本において対外的に対戦するポジションでもあった。

天龍の感情の伝わる戦いぶりからヒントを得て、「痛みが伝わるプロレス」を体現していた。
時にはボロボロになりながら、また時にはディーヤッと声を出しながら持ち上げたり、また時にはコーナーでミドルキック時にシャーッと言ったりと、気持ちが表にでるファイトぶりだった。

川田の行動による全体最適化

川田の行動は何が最適化だったのであろうか。

部分最適化であった天龍同盟入り

川田は高校時代の先輩でもある三沢光晴の誘いで全日本入りをする。入団後は佐藤昭雄にプロレスを学ぶ。鳴かず飛ばずの時代が続くが、宮城県スポーツセンターでの天龍・原vs鶴田・カブキの試合に飛び込み天龍同盟の一員になる。また冬木弘道とフットルースとしてド派手な衣装を着ながら活動、自身のポジションを確立してアジアタッグ戦線で活躍する。
順調だった天龍同盟だったが、しばらくして天龍が天龍革命は完了したとして天龍同盟を解散。川田や冬木など所属のレスラーは全日本プロレスに戻ることになる。
その後、天龍は新団体であるSWSへ移籍をし、同じ天龍同盟でパートナーであった冬木なども天龍に着いて行くように全日本プロレスを退団した。このため全日本プロレスは選手層が一気に薄くなる。

天龍退団によるショックを払拭するため、また全日本マットを活性化するために2代目タイガーマスクが自らマスクを脱いで三沢光晴となったが、この時マスクの紐を解いたのが川田である。またこの頃から黒いタイツと黄色のレガースに変わるのだが、これは別に天龍の影響ではなく、ただ黒が好きで黒に合う色が黄色だと思ったからだという。

素顔になった三沢、小橋建太と共に超世代軍を結成し、ジャンボ鶴田や田上明ら鶴田軍との抗争に入る。この頃から鶴田軍と超世代軍の試合は名勝負の連発出会った。
しかしジャンボ鶴田の内臓疾患による欠場があったため、この抗争は終焉を迎えたかに見えた。

全体最適化だった聖鬼軍

ジャンボ鶴田不在の中、田上が頑張っていたが超世代軍との戦力の差は明らかであった。そこで川田は三沢越えを宣言し超世代軍を離脱、パートナーである鶴田を失った田上と共闘し聖鬼軍を結成する。
このことで軍団の再編が行われ聖鬼軍は川田・田上・渕・小川で超世代軍は三沢・小橋・菊地・秋山となり、三沢・川田・田上・小橋の四天王時代へと突入する。

四天王時代、四天王プロレスと呼ばれる時代ではリングアウトや反則など無く、ピンフォールによる決着のみを目指していた。そのため相手に返されないようにするため徐々に技が激化していき、頭部を強打するような大技が繰り広げられるようになった。
当時の全日本プロレスファンも大技に麻痺していたこともあり、危険な技であるほど盛り上がっていた。

レスラーが身体と技術、そして挫けぬ心を鍛えていたために突き進んでしまったものであり、危険さと比例するように全日本プロレスが大いに盛り上がった理由でもあった。

この川田の超世代軍から聖鬼軍に鞍替えした行為により、全日本プロレスに四天王時代が幕を開け、全日本プロレスの最盛期を迎えるのである。

全体最適化するために

全体最適化をするために制約条件の理論(TOC)という管理哲学がある。あるシステムのゴールを継続的に最大化することを狙うというもので、全日本プロレスであれば観客動員の最大化により利益増であろう。そのためには魅力的な対戦カードが必要になる。

効果的なTOCアプローチの実施において鍵となるステップは次のとおりである。
1. 制約となるボトルネックを特定する。(全日本プロレスではジャンボ鶴田の離脱により、魅力的な対戦カードが少ない)
2. その制約を徹底活用する (全日本プロレスでは現状の対戦カードの質の向上)
3. ほかの全プロセスをその制約プロセスに従わせる (川田の超世代軍脱退と聖鬼軍結成)
4. 制約を底上げする (対戦カードのバリエーションが増やすことができる)
5. すすぎと繰り返し (質の向上と四天王プロレス化)

このことからも川田の鞍替えは重要だったといえよう。
政治家なども含め目先のことしか考えない鞍替えも横行している中、川田のように全体最適化できる鞍替えをできれば一目置かれる存在となるのではなかろうか。

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